2016年04月の記事 - 月に語れば
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高橋郁子

Author:高橋郁子
もろもろ脚本・朗読劇の演出も
(シナリオ作家協会所属)
Twitter :@ikuko_t

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月に語れば

或る脚本書きによる、気まぐれブログ。
2016年04月の記事

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4月8日が来るたびに

すでに4月も末が近づき、こんな記事です。
毎年、4月8日が来るたびに、TwitterやFacebookに書き散らしては、「あ、こういうことをブログに書けばいいんだ」と思い、また日が過ぎるという常です。
そんなわけで、今さらですがやっと書きます。

2006年から2010年にかけて、私は『大樹釈尊』という四部作で、お釈迦様の誕生から悟りまでを描いた朗読劇を作・演出しました。

主催は今もお付き合いがある新宿牛込柳町のお寺、経王寺さん。
昨年のidenshi195第2回公演『やわらかな鎖』の会場としてもお借りしたお寺です。
経王寺では当時、お釈迦様の誕生を祝う法要のほか、音楽イベントとしての「花まつり」を開催していました。
雅楽と声明と朗読がコラボする催しです。
仏教を知らない人が、少しでも興味を持てるような入り口となる作品を書いて欲しいというのが、ご住職の互井観章さんからの依頼でした。

私は「お釈迦様ってすごい!仏教って素晴らしいんだよ!」というような、開祖を崇めるためのものであれば断るつもりでした。
脚本家として、どこか一つの宗教、宗派を讃えるということは避けたかったからです。この思いは今も変わりません。
私の心配をよそに、互井さんは「人間ドラマとしての釈尊を描いて欲しい」と言いました。
さらに「ロックが好きな人もいれば、クラシック、ジャズが好きな人もいる。宗教もそうして自分に合うと思ったものを選べばいいんですよ」とも。
この言葉に、この人は信頼出来ると思い、お引き受けすることにしました。
あと「お前は性格が偏り過ぎなんだよ。未熟なんだよ。だから書いて修行しろ」とモノ書きの神様が言ってる気がしましたね(笑)

経王寺は日蓮宗のお寺ですが、私はどの宗派にも通じる部分だけを作品に盛り込みました。
こんなことを書いたら、日本全国のお坊さんに怒られてしまうかもしれませんが、釈尊の悟りを開くまでの人生は、実に面白かったです。
王子として生まれ、母を生後7日で亡くし、継母に育てられ、生きるとは何かと悩み引きこもり、結婚したと思ったら、妻子を捨てて家出してしまう。(仏教的には出家ですが、捨てられた家族からしたら家出ですよね)
なんて人間くさいキャラクターなんだろうとさえ思いました。

私は基本的に「原作を好きになるところからが仕事」だと思っています。
(オリジナル作品の場合はキャラクターを好きになるところから)
当然、私はすっかりシッダールタが好きになってしまいました。
(もしキリストの仕事がきたら同じように好きになるでしょうし、これまでも妖怪や怨霊までも好きになってきました)

『大樹釈尊』は思い出深い作品です。
演出上では、かなり贅沢なことをさせてもらいました。
お坊さんたちに、雅楽に合わせてお経や声明を唱えてもらったり、楽人の皆さんに歩きながら演奏してもらったり。
(声明:ショウミョウといってお経に節をつけた歌のようなものです)
舞楽も声明に合わせて舞ってもらう場面もありました。
また最終回となる4作目で、朗読劇ならではの「言葉の楽譜」のスタイルが確立しました。

また、この時に雅楽器奏者の中田太三さんと出会ったご縁が、のちの朗読能シアター『船弁慶』での演出プランにつながりました。
『殺生石』でお経を劇中に盛り込んだのも、この時の経験があったからです。
アニメ『アシュラ』も、この時にかじった仏教の知識があったおかげでスムーズに取り組むことができたんですよね。

とりとめがなくなりました。
ともかく、そんな経緯があって4月8日が来るたびに「花まつりもクリスマスくらいメジャーになったらいいのに」と思うのでした。


追記
実家は真言宗らしいですが、私自身は「どの宗教が自分に合うのかなー」とぼんやりしている日々です。
宗教観については「人が何を信じるのも自由。しかし押しつけてきた時点で、私にとってはマガイモノ」という考えです。ですから勧誘は逆効果です。あしからず。
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