徒然綴る - 月に語れば
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高橋郁子

Author:高橋郁子
もろもろ脚本・朗読劇の演出も
(シナリオ作家協会所属)
Twitter :@ikuko_t

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月に語れば

或る脚本書きによる、気まぐれブログ。
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兎にも角にも出会いたい

言葉の楽譜による朗読劇の構成は、能楽の謡に似ている。
緻密な音階による表現方法は、浄瑠璃に似ている。
抑制された表現の中から、物語を体感してもらう。
10年の試行錯誤の末に完成した朗読劇ならではの手法は、自然と古典芸能に近づいていた。
実は、言葉の楽譜のスタイルが完成してから、聴き手の皆さんに教えられたことがある。
「実際に見ていたのは語り手のはずなのに、私は確かに物語の情景を見たし、人物の動きが見えた」
「もう何年も経っているのに、詳細に物語の情景を思い出せる」
これらの感想は脚本執筆時には想定していなかったことである。
声の力、言葉の力だけで物語を伝えるために、細かい計算と工夫をして作ってはいる。
しかし、そこまで強烈な印象を残していたとは知らなかった。
それは一体どういうことなのか。
私は、ある結論に至った。
聴き手が想像しやすいよう、万全の準備をするのはこちら側であることは間違いないが、
実は、実際に物語の情景を作っているのは聴き手、その人なのである。
自分が作った映像だから、鮮明であるし、忘れないのだ。
想像力は、作り手だけのものではない。
私は「想像する面白さ」を、もっともっと広めたい。
そのためにも、言葉の楽譜を奏でてみたいと思ってくれる多くの語り手と出会いたい。
以上、長い前置き終わり。
ということで……
朗読劇ユニットidenshi195、この夏、ワークショップオーディションやります!
聴き手の想像力を信じて作る朗読劇。
来年の特別公演に向けて、語り手を募ります。
どのあたりが「特別」なのかも含め、日程・条件などの詳細は今月下旬に発表予定です!
どうぞご期待ください。
idenshi195公式サイト
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THEME:演劇 | GENRE:学問・文化・芸術 |

4月8日が来るたびに

すでに4月も末が近づき、こんな記事です。
毎年、4月8日が来るたびに、TwitterやFacebookに書き散らしては、「あ、こういうことをブログに書けばいいんだ」と思い、また日が過ぎるという常です。
そんなわけで、今さらですがやっと書きます。

2006年から2010年にかけて、私は『大樹釈尊』という四部作で、お釈迦様の誕生から悟りまでを描いた朗読劇を作・演出しました。

主催は今もお付き合いがある新宿牛込柳町のお寺、経王寺さん。
昨年のidenshi195第2回公演『やわらかな鎖』の会場としてもお借りしたお寺です。
経王寺では当時、お釈迦様の誕生を祝う法要のほか、音楽イベントとしての「花まつり」を開催していました。
雅楽と声明と朗読がコラボする催しです。
仏教を知らない人が、少しでも興味を持てるような入り口となる作品を書いて欲しいというのが、ご住職の互井観章さんからの依頼でした。

私は「お釈迦様ってすごい!仏教って素晴らしいんだよ!」というような、開祖を崇めるためのものであれば断るつもりでした。
脚本家として、どこか一つの宗教、宗派を讃えるということは避けたかったからです。この思いは今も変わりません。
私の心配をよそに、互井さんは「人間ドラマとしての釈尊を描いて欲しい」と言いました。
さらに「ロックが好きな人もいれば、クラシック、ジャズが好きな人もいる。宗教もそうして自分に合うと思ったものを選べばいいんですよ」とも。
この言葉に、この人は信頼出来ると思い、お引き受けすることにしました。
あと「お前は性格が偏り過ぎなんだよ。未熟なんだよ。だから書いて修行しろ」とモノ書きの神様が言ってる気がしましたね(笑)

経王寺は日蓮宗のお寺ですが、私はどの宗派にも通じる部分だけを作品に盛り込みました。
こんなことを書いたら、日本全国のお坊さんに怒られてしまうかもしれませんが、釈尊の悟りを開くまでの人生は、実に面白かったです。
王子として生まれ、母を生後7日で亡くし、継母に育てられ、生きるとは何かと悩み引きこもり、結婚したと思ったら、妻子を捨てて家出してしまう。(仏教的には出家ですが、捨てられた家族からしたら家出ですよね)
なんて人間くさいキャラクターなんだろうとさえ思いました。

私は基本的に「原作を好きになるところからが仕事」だと思っています。
(オリジナル作品の場合はキャラクターを好きになるところから)
当然、私はすっかりシッダールタが好きになってしまいました。
(もしキリストの仕事がきたら同じように好きになるでしょうし、これまでも妖怪や怨霊までも好きになってきました)

『大樹釈尊』は思い出深い作品です。
演出上では、かなり贅沢なことをさせてもらいました。
お坊さんたちに、雅楽に合わせてお経や声明を唱えてもらったり、楽人の皆さんに歩きながら演奏してもらったり。
(声明:ショウミョウといってお経に節をつけた歌のようなものです)
舞楽も声明に合わせて舞ってもらう場面もありました。
また最終回となる4作目で、朗読劇ならではの「言葉の楽譜」のスタイルが確立しました。

また、この時に雅楽器奏者の中田太三さんと出会ったご縁が、のちの朗読能シアター『船弁慶』での演出プランにつながりました。
『殺生石』でお経を劇中に盛り込んだのも、この時の経験があったからです。
アニメ『アシュラ』も、この時にかじった仏教の知識があったおかげでスムーズに取り組むことができたんですよね。

とりとめがなくなりました。
ともかく、そんな経緯があって4月8日が来るたびに「花まつりもクリスマスくらいメジャーになったらいいのに」と思うのでした。


追記
実家は真言宗らしいですが、私自身は「どの宗教が自分に合うのかなー」とぼんやりしている日々です。
宗教観については「人が何を信じるのも自由。しかし押しつけてきた時点で、私にとってはマガイモノ」という考えです。ですから勧誘は逆効果です。あしからず。

初日で楽日@やわらかな鎖

idenshi195 第2回公演
『やわらかな鎖』

やわらかな鎖 kusari_ura.jpeg 

11月14日(土)
本日が、初日で楽日です。

14:00/18:00
(受付は開演の60分前・開場は開演の30分前)

ご予約がこれからの方、カルテットオンラインでは正午まで承ります。
こちら
それ以降でも当日券がでますので、ぜひご来場ください。

昨日、ゲネプロ(本番同様の最終リハーサルのこと)を行ないました。
女優ふたりの迫力、演出の私が驚くほどの凄みがありました。

姉妹の物語。
女優が「言葉の楽譜」を奏で、音響が想像をかきたてる音を重ねます。

想像することの楽しさをぜひ体感しにいらしてください。


また今回、初めて、演出指示の入った台本(言葉の楽譜)を、初めて販売することにしました。
これまで、製本した台本を販売することはありましたが、その際はすべて発声のための記号を省いてきました。
おそらくこれからもそうする可能性が高いです。
「言葉の楽譜」を書いているのは、おそらく私と、こもだまりさんぐらいかと思います。
まだまだ主流ではありません。

お客様の混乱を防ぐために、読みやすく省略しています。
が、この形式が広まることを願い、体現できる方との出会いを求めている私は、
実験的に販売してみることにしました。
(はたして需要があるのか否か)
ご来場の方のための、当日限定での販売です。

皆様のご来場を心よりお待ちしております。

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『朗読能シアター 咸陽宮』ありがとうございました

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「朗読能シアター 咸陽宮」無事に幕をおろすことができました。
ご来場いただいた皆様、応援してくださった皆様、どうもありがとうございました。

2001年から書き始めた朗読劇。
今のスタイルになるまで、紆余曲折ありました。

初めの頃、「人の集中力は30分しか持たない。だから朗読(語り)は短編にすべき」と、言われたことがあります。
生意気にも「飽きない工夫をすればいいだけなんじゃないの」と思っていました。

ひとつの声が続く。同じ語り口が続く。
パターンが生まれれば、「予測」することができるようになる。
予測を裏切っていけば、聴き手が飽きることはない。

試行錯誤の末、今の楽譜のようなスタイルのものができました。
セリフとモノローグと地読み(ナレーション)を1人がすべて担う。
3人語りならば、耳へのアプローチは9つに広がる。
これらを瞬時に切り替え、ときに重ねて伝えていく。
リズムも音(声)も次々に変わる。
耳に予測させない構成を心がければ、30分をこえる物語も飽きさせることはない。


演出時には、雑音(想像の邪魔をするもの)を極力排します。

リズムパターンによる予測が生まれるため、語り手の癖をとる。
行間で気を抜けば、空気が途切れ、聴き手は現実に引き戻されてしまうため、気を繋ぐ。
同様に、語り手の無駄な動きは「物語の人物」ではなく「目の前の語り手」に注意を向けさせることになるため、余計な動きをさせない。
あからさまな効果(音楽、照明などの一切)は、目の前の変化に気をとられてしまうため、変化は基本「いつのまにか」。
人の耳に、無意識にどう届くか、感覚的にどう届いているかに注意を払います。

  なんてことをやるのですが、はじめのうちはなかなか理解されませんでした。
人称は入り乱れるし、とにかく「読む」ものと考えると、文章は破綻しているのですから。
(「だが」「しかし」や、「おと」「ね」などリズムを生む為に、意味は同じでも違う言葉をもってきたり)

語るため、聞くためのホン。
実力のある役者さんがキャスティングされる「朗読能シアター」があったお陰で、
多くのお客様に聞いていただくことができ、この特殊な構造の面白さを理解して貰えるようになりました。
ありがたいことです。

企画者の和の会のみなさんをはじめ、キャスト、スタッフ、すべてのご縁に感謝します。

そしてなにより。
朗読は、聴き手のみなさんが情景を想像できて初めて完成するものです。
「咸陽宮」を頭の中で作り上げてくださった、お客様に心から感謝します。

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2014年のおわりに

あっという間の2014年でした。

5月の朗読能『殺生石』では、九尾の狐の転生を描き、
ついに朗読劇ユニットidenshi195を立ち上げ、12月の満月に合わせて公演を企画しました。

小説でも会話劇でもない、語るため・聴いて想像するための脚本が、
理解されてきた手応えを感じることができた1年でした。

この独特な構造のホンによって作られる朗読劇とはどんなものか。
ラジオでお聴きいただける日がやってきました。

朗読劇「潮騒の祈り」がラジオ文化放送にて、
2015年元日14時からノーカットで放送されます。

年始で皆さまお忙しいとは思いますが、お聴きいただけましたら幸いです。

今年も残すところ、あと僅かです。
みなさま、良いお年をお迎えください。




詳しくはidenshi195をご覧ください。

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